2019年10月2日、今年のグッドデザイン賞受賞結果が発表され、腕時計の分野からも、シチズン、セイコー、オリエント、カシオの各メーカーの商品がそれぞれ受賞を果たした。
シチズン
プロマスター エコ・ドライブ ISO/JIS対応 GMT チタニウム ダイバーズ 200m
審査委員の評価
プロダクトとしてのつくり込みがしっかりしている。文字板に2段階の傾斜を設けて奥行き感を表現し、そのスペースを活かしてデイト表示の拡大レンズをガラスの内側にセット。腕時計のガラス表面に凹凸がないことは、見た目をスッキリとさせるのみならず、衣服の引っ掛かりなど傷のつきにくさにも貢献するだろう。外装に用いている表面硬度を高めたスーパーチタニウム™️を含め、多くの人がこの腕時計を長く利用することまでが丁寧に考えられている。光発電エコ・ドライブを搭載する高い技術力を備えた商品でありながらも価格が抑えられ、多くのユーザーに入手し易くしていることも、審査員の間で評価された。
プロマスター エコ・ドライブ電波時計 ISO/JIS対応 チタニウム ダイバーズ 200m
審査委員の評価
企業の強みでもある優れたチタン加工技術によってつくられたシャープな面構成は、どこから見ても美しく、実生活での使用も想定された機能的配慮や質量感との調和は、道具としての存在感と魅力を存分に放っている。光発電方式の電波受信機能を備え、現代にあるべきダイバーズウオッチの定義とデザインの在り方を更新させたことが高く評価された。
セイコー
セイコーアストロンSBXC021
審査委員の評価
電池の交換も時間合わせも必要ない、世界初のGPSソーラー腕時計を実現したセイコーアストロン。その系譜を持つ機能性に裏付けされたプロダクトとしてのつくり込みの確かさが、このモデルからも感じられる。GPS受信アンテナの小型化に伴いケース厚を薄く重心を低くできたことで、手首への装着性を大きく向上できている。またベゼルへのステンレス素材の採用により、オールステンレスモデルとなっていることも、ユーザーの使い勝手を広げるだろう。
ワイアード タイムコネクトシリーズ
審査委員の評価
ジャパンメイドの時計ブランドとして、常にトップを走り続けてきたメーカーが、その揺るぎない評価に甘んじることなく、時代に合わせてクロノグラフの先にあるものを追求した。移り変わる市場の実態をしっかりと見つめ直し、提供すべき新たな価値と、守るべきものを見極めた上でのものづくりの姿勢が素晴らしい。質感もよく動作がスムーズで、オーナーの喜びを犠牲にすることなく、新たなウオッチの存り方を提案することに成功している。
オリエント
オリエントスター ダイバー200
審査委員の評価
連綿と続くダイバーズウォッチらしいデザインでありながらも、広い見切り板や、最小限の面で構成された塊感のある表情が、機能性だけではなく、新鮮な印象も作り出すことに成功している。そしてその作り込みも素晴らしい。ダイバーズウォッチとしての耐衝撃性を満たした機械式時計であるが、そのコストパフォーマンスの高さも特質すべき点である。機械式時計を身近に楽しめるものにしており、機械式時計に取り組んできた企業姿勢の表れだと感じる。
カシオ
G-SHOCK MUDMASTER GG-B100
審査委員の評価
ケースの構造と素材を根本的に見直すことによって、耐衝撃性、耐水性などの機能を向上をさせながらも価格を抑え、この製品に期待される商品価値を高めたことは非常に意義がある。また、ボリューム感と軽さの相反性から得られる驚きや、多層的で奥行きのあるデザインから実現された視認性の高さによって、このシリーズに脈々と続くタフネスイメージを加速度的に進化させた点が評価された。
G-SHOCK GRAVITYMASTER GWR-B1000
審査委員の評価
ウレタン、メタルに続く、G-SHOCKブランド第三の素材として「カーボン」そして「モノコック構造」に取り組んだ意欲作である。裏蓋のないカーボンモノコック構造から、気密性や剛性の高さが伝わってくるが、カーボン特有の軽さも併せ持ち、タフネスでありながら軽量であるという相反した価値が高い次元で融合している。また、従来ケースでガードされたボタンも、新構造により外形から飛び出すボタンガードのないデザインを実現している。押しやすさが大きく向上しながら、耐衝撃性と相反していない。すでに確立したブランドでありながらも、常に根本的な進化を求め続ける姿勢も評価が集まった。
今年、腕時計でグッドデザイン賞を受賞したのは、各メーカーの計7モデルである。どの商品にも違った特徴があり、それぞれのメーカーの強みを存分に活かした部分であったり、チャレンジした部分がよく評価されている。
今回スマートウォッチの分類からも3種が受賞していた。近年アップルウォッチを筆頭に台頭してきた新たな分野が業界に新たな風を送り込んでいるのは間違いない。街中でもスマートウォッチを着用している方たちはよく見かけるように思う。今はまだ静観といきたいが、今後そうしたスマートウォッチとも接点を持ってみたい。
グッドデザイン賞の公式サイトから受賞商品に関するさらに詳しい情報や、合計100件の受賞商品をそれぞれ見ることができます。
https://www.g-mark.org/